どちらが良いか、という問題は「使う人にとってどちらが良いか」ということですから、人によって評価は異なります。それぞれの素材には長所と短所がありますから、特徴を踏まえながら実際に試して選ぶのがベストです。
ただ、今までの経験からいうとラテックスフォームに代表される正反発といわれるタイプのマットレスの方がバランスが良いと思われます。
低反発ウレタンの長所と短所
低反発ウレタンはテンピュールやトゥルースリーパーなどに代表されます。アメリカNASAの宇宙船の研究から生れたヴィスコエラスティックフォームを使ったマットレスです。特徴は体圧分散性が良いことです。欠点は重いことと、通気性が悪く蒸れやすく、寝返りが打ちにくい傾向にあるということです。低反発ウレタンはメモリーフォームともいわれるように、身体のラインに従って変形します。この結果、身体に密着することになり、身体から発散される汗の吸湿発散が著しく妨げられるために蒸れが大きく寝苦しくなりがちです。
高反発も含めてカタログには、しばしば「オープンセル構造で通気性が良い」と表示されていますが、確かにオープンセル構造は通気性が良いのは事実ですが、かといって風が通るようにさらっと爽やかか、というと随分違います。実際にはウレタン系は通気性は弱いと考えてください。この点に関しては、中が中空の金属コイルに対する最大の欠点です。また、低反発ウレタンは温度で硬さが変化するために、冬は硬く夏柔らかくなりますが、これも寝心地の面からいうと芳しくありません。蒸れやすいという最大の欠点と、耐久性に不安があるために眠りのプロショップSawadaでは低反発ウレタンについては否定的な考え方を持っています。ホテルのような温湿度が一定に保たれる場所ではいいかもしれません。
高反発ウレタンの長所と短所
高反発ウレタンはマニフレックスやシュララフィアなどが代表的です。わざわざ高反発と書くまでもなく、一般的なウレタンがこれに当たります。低反発やラテックスに比べると、マットレス表面の弾性が高く体圧分散性能は落ちます。寝心地は硬いというのが一般的な印象でしょう。長所は軽いことで、マットレスを動かしたりするのが容易です。
マニフレックスのマットレスには10年、12年保証が付いており「10年使えます」と謳って販売しているところもありますが、これについては正しく理解する必要があります。保証されるのは「変形保証」で「弾性保証」ではありません。変形保証は型崩れなど、例えば最初は14cmあったものが12cmになってしまったという場合ですが、これはほとんど起きません。一方弾性は変化します。いわゆる「へたり」でこれはあらゆる敷寝具には避けることができません。つまり見た目では変化が無いけれども、弾性が低下すると、実際に寝た場合に一番重い腰部が重量で沈みます。弾性変化とはこの沈み込み方が変わることです。これについては保証はありませんが、寝るとへたったと明快に感じられますから、あまり保証年数にこだわらないことです。
正反発ラテックスフォームの長所と短所
ラテックスの特徴は高反発でも低反発でもない程よいバランスの体圧分散性能、重量が変わっても中心部を水平に保持できる保持性にあります。下図を見てください。それ故に最も寝姿勢を自然な状態で保持できると考えられます。低反発・高反発を含めた中では、寝心地のバランスが最も優れていると云えるでしょう。
欠点は重いことで、それも密度が高いほど重量が増えます。特にダブルサイズはおすすめできません。クイーンサイズ(80cmを2本)のように重量を分散した方がいいでしょう。抗菌性能が高いので、ニオイが付きにくく、カビの発生も抑えられます。ただし、ラテックスフォーム本体にカビは生えにくいのですが、周りのカバーはそうでないので過信は禁物です。
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