眠りのしくみ− ヒトはなぜ眠るのか?
睡眠には “疲れたから眠る” という「恒常性維持機構」と、“夜になると眠くなる” という「生体時計機構」の2 つの機構によって、状況に応じて相互に関連しながら睡眠の質・量およびタイミングを制御しています。
恒常性維持機構は日中の活動で酷使された脳や体を積極的に休ませ、生体時計機構はその日の疲れに関わりなく、いつもの時刻になると眠くなるという機構です。
恒常性維持機構では睡眠物質の蓄積による睡眠中枢の働きが眠りをもたらし、生体時計機構では光の信号が時計の働きをする視交叉上核に伝えられ、夕刻からのメラトニンの分泌の増大が眠りに導きます。
眠気のリズムの調査によると、日中の眠気が午後2時〜4時に強くなり、日中の12 時間周期の眠気のリズムのピークにあることがわかります。また、夜間では午前2
時〜 4 時に眠気が強くなり、24時間周期でのリズムのピークにあります。
スウェーデンのガス作業従事者による作業ミスの発生時刻の調査によると、作業ミスは午前2 時台に最も多く発生し、日中では午後2時台に多いことが報告されています(Bjerner
ら、1995)。チェルノブイリ原発など大きな事故も午前2〜4時頃に発生していることが多いのです。これらの時刻は、眠気のリズムのピークとほぼ対応しています。
日中に眠気の強い人は、日頃の夜間の睡眠不足があり、生活習慣を見直す必要があります。眠気の回避には20〜30分程度の昼寝を午後3 時までにとることも有効です。
睡眠教育ハンドブック「睡眠教育のための生活指針」滋賀医科大学睡眠学講座・滋賀大学教育学部発行
「快眠ライフと睡眠学」滋賀医科大学睡眠学講座発行 より引用・抜粋
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