眠りのしくみ− 睡眠とホルモンの関係
メラトニンは睡眠を司るホルモンといわれ、夕方から夜にかけて分泌が多くなります。抗酸化作用(老化防止、抗がん)やリズム調整(催眠・体温低下)・性的成熟の抑制などの働きがあります。
トリプトファンは食で摂ることが必要な必須アミノ酸で、卵・魚・納豆などに多く含まれます。これからセロトニンがつくられます。セロトニンは痛覚抑制作用があり、交感神経を刺激します。朝光が目に入ると体内時計がリセットされ(体内時計と睡眠参照)、覚醒とともにセロトニンが分泌されます。夜暗くなると、今度はメラトニンの分泌が促され、眠くなるというメカニズムになっています。
したがって、夜遅くまで明るいリビングにいたり、テレビやパソコンをすることはメラトニンの分泌を抑制するために眠りにくいという状態になりやすいので注意が必要です。初潮年齢が下がってきているというのも、夜型生活が増えてメラトニンが少なくなっていることと関係があるようです。
アメリカではキャリアウーマンに乳がんが多いという報告がありますが、メラトニン分泌と抗酸化作用に関連があるといわれています。
成長ホルモンは脳下垂体から分泌されますが、寝入りばなの深いノンレム睡眠時に集中して分泌されます。発育期の子どもでは身体の成長に、成人では組織の損傷を修復することで疲労回復に役立っています。「寝る子は育つ」ということわざは、こうした事実に裏づけされます。(睡眠中の体温と発汗も参照のこと)
目覚めへの準備 − コルチゾールは抗ストレスホルモン
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コルチゾールは副腎から分泌されるホルモンで、代謝促進作用をもち、ストレスに応じて分泌量が増大します。環境の急激な変化等の緊急事態に対し、利用できるエネルギーを体内に準備する働きをします。覚醒直前に最大値になることから、覚醒後の肉体的・物理的なストレスに対して身体の準備を整えているとみられます。
睡眠教育ハンドブック「睡眠教育のための生活指針」滋賀医科大学睡眠学講座・滋賀大学教育学部発行
「快眠ライフと睡眠学」滋賀医科大学睡眠学講座発行 より引用・抜粋
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