眠りのトラブル− 熟眠感がない・日中非常に眠い
これまでの「寝付きが悪い」「眠りが浅くて中途覚醒が多い」となると、睡眠品質は大きく損なわれます。結果的には朝すっきり起きられずに、交感神経がまだ働いていない寝ぼけ眼の状態となります。
寝付きが悪いだけで、睡眠の深さは十分に取れるのであれば、睡眠時間は少なくても、ある程度疲労回復も期待できます。ところが、睡眠時間も眠りも浅いではトータルの睡眠量(下図の睡眠部分の面積)が確保できません。その結果、たまらない眠気に襲われたり、体がだるくて通常の活動に大きな妨げとなってしまうのです。
加えて「ちゃんと眠れていない」ということが、体だけでなく精神的にも不安な状態を作りだしてしまい、それがストレスとなって悪循環になるのが問題です。
チェルノブイリ原発などの重大な事故や、自動車事故の多くが覚醒度の低い夜中の2〜5時に起こっています。先日もスキーバスが運転手の寝不足が理由で事故を起こしていますが、分析した専門家によれば、このときも十分に睡眠が取れず疲労が蓄積して、集中力が落ち、それが危険領域を越えた直後に事故が起こっています。
オーストラリアからの報告によれば、例えば15時間の不眠状態で運転をすることは、酒気帯び運転をすることと同じ集中力しかないとされています。このように睡眠障害によって引き起こされている事故などの社会的な問題に加え、集中力の低下による経済的ロスはかなりなものになると云われているのです。
「単なる寝不足」ということではなく、専門家の診断の元に正しい対処をすることが大切ではないでしょうか。
睡眠教育ハンドブック「睡眠教育のための生活指針」滋賀医科大学睡眠学講座・滋賀大学教育学部発行
「快眠ライフと睡眠学」滋賀医科大学睡眠学講座発行 より引用・抜粋
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