眠りのしくみ− 子どもの睡眠
子どもの睡眠の特徴は高齢者とは反対に
1.深い睡眠が多い
2.レム睡眠の割合が多い
3.睡眠時間が長い
というのが特徴です。総睡眠時間は下図にあるように、新生児で15〜16時間で小児期で12時間、思春期にいたって8時間とおとな並みになってきます。その中でも特徴的なものはレム睡眠の割合がおとなに比べてかなり多いのです。レム睡眠は脳に入った情報を整理する役割を果たしていますので、覚えることの多い幼児〜小児期にレム睡眠が多いのもうなずけます。
一般に睡眠の深さと発汗は比例するといわれます。特に最初のノンレム睡眠は最も深い睡眠ですが、このときに最も多くの汗をかきます。最初のノンレム睡眠が重要なのは、このときに成長に欠かせない成長ホルモンが多く分泌するからなのですが、発汗に対して吸湿が不十分だと、寝床内の不快指数が増大し、深い眠りが妨げられます。
イギリスのオックスフォード大学での研究では、未熟児に対して、ウールとポリエステルのふとんでの生育を調べた結果、ウールのほうが成長が大きいという結果がでています。これも吸湿性の悪いポリエステル繊維に比べ、ウールの吸湿発散性が優れているため、寝床内の湿度が抑えられ、結果的に成長ホルモンが多くでる、良質な睡眠がとれたからではないかといわれています。
これらの結果から、最初の多量の発汗時に十分吸湿発散が対応できる寝具を使うことが、子どもの生育にかかせない、という仮説がえられるのです。
1999 年の東京都立教育研究所の調査によると、いらいら感の強い子どもは、弱い子どもに比べて夜更かしをする割合が高くなっています。とくに、24
時以降の夜更かしがいらいら感と強く関係しています。
いらいら感の強い子どもの食生活をみると、夜食を摂り、朝食を抜く傾向がみられます。これは睡眠時間が短くなって朝食の時間がとれないことや月覚めてもすぐに食べる気がしないことなどが原因です。このようにして眠気と空腹によるいらいら感が増していきます。
またテレビやゲーム、明るすぎるリビングなど明るさが原因でメラトニンの分泌が抑えられ、夜更かしが増えているというのも原因のひとつと考えられます。
睡眠教育ハンドブック「睡眠教育のための生活指針」滋賀医科大学睡眠学講座・滋賀大学教育学部発行
「快眠ライフと睡眠学」滋賀医科大学睡眠学講座発行 より引用・抜粋
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