快眠のための寝具 - 背骨のS字カーブの保持と体圧分散
理想的な寝姿勢は直立した状態といわれます。
このときに背骨はゆるやかなS字カーブとなっていますが、このS字カーブを寝たときにも正しい姿勢で保持することが大切です。背骨には体を司る多くの神経が通っていますから、正しい寝姿勢をとることは非常に大切なことといえるでしょう。
柔らかすぎて腰が落ち込み、くの字型になるような敷ふとんは腰痛の原因にもなりおすすめすることはできません。それゆえに、いままでは「固いふとんが健康に良い」と信じられてきました。S字カーブを保持するという点では正しいといえます。
「せんべい布団は体に良い」? 敷には体圧分散が必要です
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「せんべい布団が一番体に良い」ということを聞かれた方は少なくないと思います。たしかに上記のS字カーブの保持という点では間違っていませんが、本来せんべい布団になるまでへたったわたでは、敷ふとんに必要とされる保温性や吸湿性が著しく損なわれているということなのです。そして最も大切なことは、体全体で体圧を支えるという体圧分散が必要であるということです。
通常ヒトの体重は上図のように、胸と腰、すなわちボディで8割近い体重がかかります。その状態で硬い敷の上に寝ると、特定の場所に体重がかかってしまいます。この状態が長く続く寝たきりだと、その部分が鬱血し床ずれが起こるのです。それを下図のように全体に体圧分散して支えるようにすると、負担が少なくリラックスできるのです。
横向き寝をする場合は、肩と腰の出っ張りを受け止めることが必要です
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女性の肩こりの原因の一つに横向き寝があります。横向き寝が悪いのではなく、硬くて薄い敷ふとんに寝ていて、出っ張る肩が圧迫され、その辺りの筋肉が緊張するのが一因といわれます。睡眠時無呼吸症候群の場合も横向き寝は有効ですが、そのためには出っ張る肩と腰をうまく受け止める厚みが必要なのです。
理想的な寝返りは一晩20回程度、という話がありますが、実際にはなんら根拠のない話です。ただ、床の上に眠るといった体圧分散性が悪いばあいは、頻繁に体を入れ替えるために寝返りが非常に増えます。その一方で、まったく寝返りをしないというのは不自然です。
前にテンピュールのマットレスで起こったことです。テンピュールのような低反発マットレスはメモリフォームといわれるように、使っていると体の型を取っているような状態になりますが、特に冬の場合、寝返りが難しくなります。寝返りできる程よい反発が必要なのです。
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