Aは4×5マスの標準的な充填をした場合の厚さです。この状態なら身体へのフィット感もまずまず得られます。 羽毛を詰め込みすぎるな−最適な羽毛量を選ぶただ、このような場合でも、多く詰めれば良いのかというとそうでもありません。特に都市部のマンションに代表されるように、高気密・高断熱の住宅が多くなった現在では、詰め込みすぎると11月も末でないと使えないということになります。これでは羽毛ふとんの持つ良さを活かしているとはいえません。 ・キルティングの構造 |
最適な中身の量をどのように決めていくか |
羽毛の持つ吸湿発散性は、空気の循環がどれだけできるかにかかってきます。一方で空気は最も断熱性の良い素材なので、空気を多く含むと保温性が上がります。このことからも、必要以上に羽毛を充填すると、羽毛の持つ本来の良さをスポイルしてしまうといえるでしょう。
まず、マスが小さい(マスの数が多い)羽毛は、マスの大きい側に比べると、マス中央部の膨らみがそれほど取れませんから、一マスあたりのの容積が限られますので、充填量は少なく控えめにするのがベターです。
マスの大きい側は膨らみも大きくなる一方で、容積が大きいために、中で羽毛が片寄りしやすくなる傾向があります。これを防ぐには充填量を増やさなければなりません。3×5マスや3×4マスぐらいになると、そのバランスの取り方が難しくなります。
同じキルティング、同じ羽毛を入れても、側の重量によって嵩の出方は変わります。側が重くなるほど、多く羽毛を充填する必要があります。
例えば、平均的な生地である超長綿60サテンは生地重量が140g/uぐらいです。この時に必要な羽毛充填量を100とすると、
超長綿80サテン 生地重量 115g/uだと 95
超長綿100ツイル 生地重量 93g/uだと 90
ぐらいの充填量で、同じだけの嵩になります。生地が重いと羽毛を圧迫するからなのです。ということは、生地が軽い方が羽毛の量が少ない=空気の量が多いために、保温や温湿度の調整が容易になるということがいえます。
これはある意味当たり前なのですが、言い換えると、増量された羽毛ふとんは質が良くないということです。
例えば嵩高15.0cmの羽毛と嵩高18.0cmの羽毛とでは、同じ重量でも嵩高18.0cmの方が20%多く嵩高になります。逆に言うと15.0cmを1.2kg入れるのと、18.0cmを1.0kg入れるのではほとんど同じということです。ですから、よくテレビ通販とかチラシなんかでも「今回は特別に増量しました」なんていうとトクしたかのように見えますが、必ずしもそうではないことがわかります。
上記と同様、嵩高のある羽毛を使うと、羽毛の重量が少ない分、空気の量が多くなるので、より良いということになります。
また、羽毛も使っているうちに汚れなどもあって、次第に嵩が減ってきますが、嵩高のある羽毛はダウンボールが大きいので、嵩減りが少なく、リフォームした後でも目減りが少ないのです。
要は暑がりの方には薄い目に、寒がりの方には厚い目の羽毛ふとんを使うということです。あるいは、暖かい部屋なら薄い目を、寒い部屋には厚い目の羽毛をということです。
かつて木綿わたのふとんの場合は、製造直売スタイルがほとんどでしたから、お客様のご要望に合わせて中わたの量を調節できました。ところが、市販品の羽毛ふとんは中身の充填量の調節ができません。しかも、嵩高く多く入っているケースがほとんどなので、特に暑がりの方には必要以上に嵩高になってしまうことが多いのです。
目の前でお作りしますので、どのようなご要望にも素早く対応いたします。例えば、ご夫婦でお求めの場合、同じように作るのではなく、男性の羽毛ふとんの充填量を50g減らし、その分を女性の分に足すことも可能ですし、余分なコストはかかりません。